世界遺産の町「平泉」ひとり旅。
ひとり旅が好きだ。
特に寺社仏閣,仏像を巡るには、自分のペースでまったり回るのがわたしにはベストだ。その贅沢な時間に酔う。
2月、大学生の春休みという最強のモラトリアムを利用して、世界遺産登録のころから行きたかった平泉までひとりで足をのばしたので、メモ代わりにその記録をつけておく。
昔から寺社的なものにカメラを向けられない性質のため、大事なところで画像がないのはご容赦ください。
往路
現地の足として、平泉駅付近でレンタル電動自転車(1300円)を借りた。
電動である必要性はそんなにないが、+300円の価値程度には楽だったと思う。
毛越寺
【駅~自転車5分】
8時半開門(冬季)。途中にだだっ広い観自在大院跡があるので、立ち止まって時間を潰せる。
ぐるっと一周して30分強。オフシーズンの朝一番は、風景ほぼ独り占めであった。
帰ってから東京国立博物館のみちのくの仏像展に行くと、毛越寺所蔵の作品もありすごい人だかりだったが、宝物館は貸し切り。
平泉遺産文化センター
【毛越寺~自転車5分】
無料とは思えないクオリティの説明展示がされている、小さいけれど綺麗な建物。
前半に行って勉強するのでも、後半に行って復習するのでも。
金鶏山
文化センターからほんの少し戻る。
なにかに載っていた山頂からの景色がよかったので試しに登ってみたが、あまりの急傾斜に心が折れかけた。ここでこけたら2時間は見つけてもらえないんだろうな、という人気のなさ。
ふもとには義経妻子の墓、なるものがある。
昼食
【金鶏山から自転車5分】
当初考えていたところで、今日はランチを出さないと言われたので、「夢乃風」という通り道のお店でいただいた。
郷土料理の藤原三代お餅御膳が、レンタルサイクルのクーポンで900円。
中尊寺
【食事処から自転車5分】
平泉のメインとなる中尊寺。周りには土産屋やご飯屋が駅より多いくらいなので、ここにお昼時を合わせるのがベストではないかと思う。
中尊寺には、どこから湧いてきたのかと思うくらい他と比べて人がいた。
敷地へは無料で入ることができ、奥へ奥へと続く山道の両側に、いくつものお堂が出現する。これにいちいち手を合わせて進んでいく。
メインは3つあり、まず本堂。とりあえず学業守を買う。
次に宝物館が見えてくるのでまずここで宝物館+金堂のチケット(700円)を購入する。わたしは早く金堂が見たくてたまらなかったので、チケットをもってもう一歩奥へ進んだ。
高校時代、資料集でずっと眺めていた金箔塗りの金堂をしばらく堪能する。
その後宝物館のほうをゆっくり見学し、山を下りながらもう一度本堂を拝んで帰ってきた。計1時間程度。
高館義経堂
【中尊寺〜自転車5分】
源義経終焉の地。四代秀衡に追われ、自害したといわれている高台だ。(伝説では諸説あるが…)200円払って階段を上がる。
奥州藤原氏に匿われていたというだけあり、少し登った先の北上川に面した先端であった。狭いその場所でひとり、義経の無念を想う。
ここはもうひとつ、有名な理由がある。松尾芭蕉の存在だ。
『夏草や 兵どもが 夢の跡』
義経一行の最後の地からは北上川の姿を望むことしかできない、その儚さを詠んだという、小学校で習う超有名な句である。
今もフェンスの下には、恐らく芭蕉の見たものとそう変わらぬであろう景色が存在していたりして、ついしばらく眺めていた。
柳之御所史跡公園
【高館義経堂〜自転車10分】
少し奥まったところにある。資料館は無料で、発掘の歴史を勉強したり、少し休憩したり。隣にあるだだっ広い広場が、すべて遺跡らしい。なーんにもないけれど、縁どりのされた前に立ち、遥か昔を想像するのは贅沢な時間かもしれない。
このあたりで雪が降ってきたが、レインコートを持ってきていたわたしは無敵だった。
発掘工事中だったのでスルーしたが、時間が余ったので戻ってきた。
本当に池があるだけの空き地。いつか教科書で見た再現CGの美しい建物を思い出しながら、ちょっと丘の上にのぼって遊んだ。
悠久の湯
【無量光院跡〜自転車10分】
夜行バスで寺社仏閣を見に行くと、閉館から出発までの時間をいつも持て余す。今回は移動を自転車にしたためさらに余裕があった。
雪で冷えた体で、その最高の使用方法を思いついた。銭湯へいこう。この時点で午後4時ごろであった。
レンタルサイクルの割引で400円、それにバスタオルを借りて500円。地元の方々と温泉につかり、コーヒー牛乳を飲んで、1時間以上滞在した。
移動
その後駅に戻り、自転車を返し、電車に乗ろうとして気づいた。
そう簡単に電車は来ない。
20分に一本は来るだろう、と甘く考えていたわたしは、平泉駅で50分の待ち時間を過ごすことになる。もっとも快適な待合室のおかげで、その時間は苦ではなかった。
ぜひ、時刻表をお調べの上ご移動ください。
夕食
平泉駅の周りはあまり店がなく閉店も早かったため、一ノ関駅で探すことにした。
周りには居酒屋とラーメン屋くらいしかない。しかし郷土料理が食べたい。当初は盛岡のわんこそばを考えていたけれど、結局はインターネット上で観光客に人気だった『せきのいち』へ向かった。駅から徒歩15分。
昼に餅膳を食べたことを伝えたら勧めていただいた「牛辛餅膳」を食べた。同じ餅の郷土料理だが、三度楽しめると教わった通りに、温泉たまごや出汁を順に入れてみた。満足の1600円。
帰路
一ノ関駅〜東京駅:夜行バス約9時間
【午前6時すぎ着】
出発が21時だったので、時間を持て余さず済んだ。ちなみに夜行バス往復の料金は9000円、金はないが体力ならなんとかなる、今だからこその行程だった気がする。
何はともあれ、あの頃の夢が叶ってよかった。
オフシーズンの旅も悪くない。